【支援事例紹介】統合したばかりの部署でシナジーを喚起する「創発的インタビューメソッド」でトップの真意を引き出し、メンバーに浸透させる
全く異なる事業所が統合。シナジー喚起のためにインタビューを実施
本事例は、事業所ごとに独立していたクリエイティブ業務を一つの部署に統合したばかりのメーカー企業様からのご依頼でした。扱う商品や市場規模、価値観の異なる事業所は、もはや別の会社と言っても過言でないほど。しかし、新規事業に取り組むためには、部署統合を機に横のつながりを作りながらシナジーを喚起することが求められていました。
そこで、戦略立案の軸となるトップの意思を千人規模のメンバー一人ひとりに届けるため、各事業部署の幹部10名程度に対してインタビューを行いました。戦略的なヒアリングに向けては、事前の分析や仮説構築が重要です。今回のケースでは、幹部全員にストレングスファインダーを受けていただいた上で強みの資質を解析し、ボスマネジメントの観点から組織の目標の指針となるメッセージを引き出していきました。
意図を整理し、業務の円滑化を図るーインタビューにしかできないこと
トップの意思や言葉をインタビューとして記録・視覚化することには大きなメリットがあります。なぜなら、上層部から口頭でコメントがある時、ほとんどの メンバーはまるで印籠かのように重要視するものの、受け手によっては何が主題なのか理解しきれなかったり、たとえ同じ意図の発言であっても、言葉のニュアンスによって別の指示をされているように感じたりするなど、すれ違いも多く 発生してしまうからです。
インタビューとしてコメントを読む際は、普段口頭で言われていることと異なり(もちろん、内容は同じはずなのですが)意図の理解の速さ・深さがぐんと増します。会社で自分たちがなすべきことがわかってくるため、上層部と目指すベクトルが自然と合っていくのです。
また、インタビューされる幹部たち当人にとっても、普段の発言の場との違いも手伝って、ブレのない精度の高い発言を 出そうという意識が生まれます。過去の自分の成功体験と現在の方針の繋がりが、思いを語っていく中で明確に見えてくるので、目指したいゴールやメンバーに求める行動、さらにはそれらがどのような意図の上にあるのかということが自然と整理されて出てくるのだと思います。
インタビューを小冊子にまとめ、意図を可視化
インタビューで引き出した幹部からのメッセージは、その後記事としてまとめて社内ブログ(イントラネット)へ掲載し、メンバーの誰でもアクセスできる環境を整えました。さらに、メッセージから重要なワードをピックアップして図として起こしたワードクラウドも作成し、ストレングスファインダーの強みの資質とともに、幹部それぞれがどういった意図を持ち、どのようなゴールを目指しているかを視覚からすぐに理解できる小冊子として社内配布できる形でまとめました。
話し手の意図を超える 良いインタビューとは何か?
さて、そもそもチーム内でシナジーを起こす起点となるようなインタビューは、どうやって創り出せばいいのでしょうか?当然ですが、何の戦略もなく聞きにいくという姿勢では新しいものは生まれません。どんなことでも「再定義」するのがかたちえのやり方ですので、インタビューについても再定義し、最大限のポテンシャルを引き出す活用を行っています。
ありふれた業務のように見えるインタビューですが、きちんと極意を押さえれば、企業のトップ、キーパーソンの考えを引き出し、整理し、他のメンバーに伝えることができる一つのソリューションになるのです。
良いインタビューとは何かーー。これには、4段階のレベルがあると考えています。
一番下は、単なる音声の文章化。これでは自己満足止まりです。2段階目は話し手の意図が引き出されている状態。話し手が上手であれば、ここまで進めることはできますが、インタビュアー・インタビュイー のコラボレーションとしてはもう少し引き出したいところです。3段階目では、生の会話でしかできないストーリーを紡ぐことで、意図以上のものが引き出された状態まで進めることができます。4段階目に行くには、ゴールを見据えたインタビューが不可欠です。ただ聞きに行くのではなく、どうしたらプロジェクトのゴールに寄与できるか、深く洞察しながらインタビューを作り上げます。この場合、インタビューは目的ではなく、むしろ大きなプロジェクトの中の一つの手段となります。
かたちえ流、「創発的インタビュー」の極意
それでは、意図以上のストーリーを引き出すために、いかに金脈を掘り当てるかについてですが、何よりまず仮説を立てることが重要です。
インタビューの引き出しをできるだけ多く作っておくため、企業全体として求められていることや目標をお客様以上に言えるほど把握し洞察することで、向かうべき方向を仮説立てしていきます。このとき、かたちえが大切にしている「共創」がポイントになります。外部の我々が、企業の内側の視点で物事を考え、一緒に関わることで仮説のリアリティが増していくのです。
インタビュー中では、本質的な問いだけをお聞きしています。WhatとWhyを中心に聞くのですが、問いが素朴であるほど本質を捉えられるのです。なぜそう思うのか?という問いは当人にとっても新鮮であることが多く、その方の原体験を引き出すことができます。インタビューの最中は瞬時に洞察し、新たな問いを立てるという作業の繰り返しです。それらの問いを繰り返すことで、より焦点を明確にしていきます。
2) インタビューする側が、ストレングスファインダーの活用に関する知識と経験から、相手の思考・感情・行動の特性を理解していること
本ケースでは、統合したばかりの部署ということで、全メンバーが共通のビジョンを持っていないという状況でした。お読みいただいている皆さまの組織でも、トップとメンバー間に充分なコミュニケーションが取りづらい、考えをシェアする場が少ない状況があるかもしれません。そんな場合でも、インタビューを通じて表現し、双方向のコミュニケーションツールとして活かせる可能性があります。視覚化に留まらず、動画化やインタビューを活用した実践ワーク(こちらの事例も非常にパワフルなのでぜひいつかお伝えしたいです!)での落とし込みなども可能ですので、ぜひこちらからかたちえにご相談ください。
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