かたちえの人材育成モデル、その源流と価値とは?
かたちえでは、これまで13年間にわたり、中小企業大学校が開催する「経営後継者研修」に関わってきました。この間に得た多くのナレッジやノウハウは、人材育成事業を営む私たちの価値の源泉になっています。今後、それらを弊社で行う様々な育成業務に活かし、さらに有益なものを世の中に広めていきたいと考えています。
今回は私たちが長年、経営後継者研修で行ってきた取り組みとその経験から私たちができる育成の価値についてご紹介します。
経営後継者研修を始めたきっかけ
経済産業省の外郭団体「独立行政法人中小企業基盤整備機構」(中小機構)」が運営する「中小企業大学校」。ここでは、経営者や管理者向けの様々な研修が行われています。全国にある9校のうち、メインの東京校での看板の研修となっているのが「経営後継者研修」です。43年間にわたって継続して開催されています。
2009年に事務局の担当者が変わって、この経営後継者研修のプログラムが作り直されることに。時代に合わせて、カリキュラムを見直す必要が出てきたためでした。その際、研修設計に協力してほしいと、事務局から弊社代表・松岡にご相談いただきました。
そして、実際に6枚ものホワイトボードを壁一面に並べ、内容を書き出し、事務局と共にゼロから講座の内容を作り上げていきました。結果、大規模な研修作りのノウハウを獲得できたのです。研修設計は29期の後半からスタートさせ、30期からこの新プログラムが開始されました。
「研修講師」ではない、在り方を整える関わり
●後継者による「第二の創業」テーマを発表
経営後継者研修の目的は、24名の研修生が10か月間で経営者として必要なマインド・スキル・知識を鍛えることです。毎月、「財務」「法務」「マーケティング」「経営戦略」といったテーマが設けられ、各テーマごとに講師がレクチャーをします。研修生は各テーマを学んだあと自社に戻り、その内容に基づいたリサーチを行い、レポートを書きます。全10回を通して、自社の実態がわかる仕組みです。そして、最後に第二創業のテーマを発表して終了します。
●CLO(チーフ・ラーニング・オフィサー)として「学び方」を教える
この研修で、かたちえは講師としての立ち位置ではなく、研修生と事務局の2方向をサポートする立場で関わってきました。講師陣は経営に必要なノウハウを伝える一方、私たちはCLO(チーフ・ラーニング・オフィサー)として、学び方・在り方・整え方といった領域を扱ってきたのです。具体的には、「目標設定とフォロー」と「振り返り」の2つです。
目標設定は研修の大きな柱です。そして、目標設定時のアプローチは柔軟に変化させながら行っています。マインドマップやストレングスファインダーはもちろん、モールを使ったイメージ作りや質問シートの活用、身体感覚を使ったワークなど、様々なツールを使用します。また、事務局が掲げる研修のゴールから逆算し、各段階に合わせたアプローチ方法を選んでいます。事前に作り込んだものを教えるだけではなく、状況に合わせた対応をしながら、目標設定をサポートしているのです。
毎月の振り返りは、これまで試行錯誤しながらやってきました。個別コンサルティングとして、ひとり15分間、24人分の話を丸一日かけて聞き、問題解決をしたこともあります。勉強方法・習慣化・時間管理・整理整頓・人間関係・モチベーション・プライベートといった、個人の悩みと向き合ってきました。「個別に人を見る」ことをずっと私たちはやり続けています。
●疲弊する事務局のサポートも
事務局が整うと研修が整うため、当初は事務局のサポートも行っていました。10か月間、研修生24名のモチベーションを維持させる事務局の役割は大変なものです。特に経営後継者は、幼少期から家庭でも親が社長の顔をしていて甘えることが難しかったり、会社では「社長の子ども」として見られ続けていたりといったケースが多くあります。このため、研修に参加しながらも、後継者になることに複雑な思いを抱えている研修生もいるのです。また、成熟した会社員が参加する管理職向け研修とは違い、若い層が長期間にわたって参加する経営後継者研修は、しばしば問題が起こることもあります。
このような背景から、研修生との振り返り前に事務局とも話をする機会を設け、研修生の様子を尋ねるようにしていました。問題がある研修生に対しては、振り返り時間の中で積極的に声をかけることで、研修生の姿勢も変わっていきました。
●学びの場のファシリテーション
研修の特別プログラムの中に、経営者たちと研修生たちが集まる「派遣元合同研修」というものがあります。この研修は、研修生たちが経営者に質問したいテーマを挙げ、少人数に分かれて話を聴き、学びを深める貴重な機会です。過去には、「後継者が自社にもどった後の関わり方」「従業員とのコミュニケーション」「後継者に期待していること」といったテーマが挙げられました。従業員やその家族の生活も背負っている経営者の生の声には凄味があります。かたちえでは、このような特別プログラムのファシリテーションも行っています。
研修後も「共育・共創」するつながり
これまでの経営後継者研修において、13年間で300人以上の研修生をサポートしてきました。そして、私たちの提供内容の価値を特に理解してくれた研修生とは、継続的な共育・共創としてつながりができているケースがあります。
例えば、31期のある研修生が社長になった際、経営後継者研修で学んだマインドマップを社内に取り入れたいと、社員研修の依頼がありました。今も社内でマインドマップのすごさを伝えてくれていると聞いています。また、別の卒業生はさらなる学びを深めたいと、弊社開催の*「次世代経営デザインリーダー養成プロジェクト」という経営者層を対象とした育成塾に参加しています。
*「次世代経営デザインリーダー養成プロジェクト」についての詳細はこちらをご覧下さい。
2つの時間軸で関わり続けてきた「育成」
「育成」は、かたちえの提供価値のひとつです。弊社では2つの時間軸で長期間、幅広い世代の育成に関わってきたことで、世代に合わせたアプローチができると自負しています。人材育成は単発研修のみでは、なかなか成果を出すことはできないため、長い目で見なければなりません。弊社では、2つの時間軸で長期的な目線を持ち、育成を行っています。
●20~30代の変化を13年間見続けてきて
13年間研修生を見続けて、同じ20~30代でも13年前、5年前、今と全く違うことを実感しています。以前は、既に経営者になる覚悟のある研修生が多かったものです。しかし最近は、社会人経験も自社経験もまだ浅い20代の研修生も多く、まだ自分が会社を継ぐ意識が育っていない状態です。そのような研修生は研修中の葛藤が見られますが、それもフォローをしています。
また、最近の20〜30代は、権威に影響されないことが特徴的です。例えば、著名な講師が来たとしても、一方通行の講義であれば彼らはあまり反応しません。一方、自分語りを好むため、参加型・交流型の講義は評価が高くなる傾向にあります。彼らには対話が必要であり、今まさに「Boss to Coach(※)」が求められていることを、如実に感じています。
※ストレングスファインダーを開発したGallup社が推奨しているマネージャーの姿勢
さらに、同じ研修でも、毎年研修生によって反応は違います。そこで、リアルタイムで状況に合わせ、研修のやり方や内容を変えています。「ダイナミックファシリテーション」というこの高度な技術は、何十回も研修のチューニングを繰り返してきた私たちだからこそ、できることです。
●20代~60代まで、幅広い世代の育成経験
経営後継者研修は20〜30代が多いですが、弊社ではこれまで中間管理職養成の塾も開催してきました。今年度からは社長や幹部の養成塾も開催しています。若い層だけではなく、中高年の育成にも継続的に関わり、成果を出していきます。
経営後継者研修をベースにさらなる共育と共育を
弊社の大きなテーマは「共育・共創」です。そして、中小企業の経営者育成は使命だと感じ、これまで継続して経営後継者研修に関わってきました。研修設定から行い、CLOとして研修生一人ひとりと向き合い、13年間若年層の後継者を見続けてきました。その一方で、弊社開催の塾では中高年層の人材育成にも取り組み続けてきました。このように2つの時間軸で共育と共創を繰り返してきた私たちだからこそ、わかることやできることがあります。そして、この有益なナレッジやノウハウを、今後より幅広く展開することで、これからも経営者や後継者を応援していきたいと考えています。
弊社の次世代育成にご関心をお持ちいただけましたら、こちらよりどうぞお問合せ下さい。貴社の課題感をお伺いするオンライン面談(初回無料)も設定させていただくことができますので、どうぞお気軽にご相談下さい。
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